保険会社の「◯◯さん的にはどうですか?良くなっていると感じますか?」に騙されるな!
交通事故に遭い、被害者は翌日から通院生活が始まります。
個々の状況や保険会社の担当者にもよりますが、保険会社は、DMK136などを目安に「よし、そろそろ治療を打ち切ろうかなぁ」なんてことを考えます。(DMK136については下記の記事をご参照ください)
保険会社の担当者にもよりますが、もっとも多いのは被害者自身の携帯電話に連絡が入るケースです。
保険会社「あっ、もしもし、お世話になります。◯△損保の山本ですが」
被害者「あっ、はい、どうも」
保険会社「そろそろ事故から3ヶ月くらい経過しますし、あの〜お身体の調子はどうでしょうか?」
被害者「あっ、はぁ。まだ痛いですね...」
保険会社「あぁ、そうですか。正直申しまして、◯◯さんのような事故(受傷)の場合ですと、そろそろ治療期間が限界かなぁというところなんですが...」
被害者「あぁ、そうなんですか。はぁ...」
【騙されないで!】
こんなやり取りがよく行われています。このとき、保険会社の担当者の中には、さもそれ(治療期間)が何かの規定や決まりがあるかのような言い回しをしますが、そんな規定やルールはどこにもありませんからご注意ください。あるのは、その口車にのって治療打ち切りを了承してしまった何も知らない被害者たちの屍(前例)だけです。
では、会話を続けてみていきましょう。
保険会社「はい、そうなんですよ。大変心苦しいのですが...」
被害者「でも、まだ痛いんですよね...では、私はまだ痛いから今後も通院するわけですが、そうなった場合の治療費は私が自分で支払わないといけないということでしょうか?」
保険会社「う〜ん、そうですね、その部分については『後遺症』の申請をして後遺症が残ってしまえば、もちろん、私どもはその部分についてもしっかりと補償したいと考えております」
【騙されないで!】
まず、他覚所見なしの場合、通院期間が180日に満たないケースは99.9%非該当とされ、後遺障害として認定されません。詳しくは下記『3分でわかる「後遺症」と「後遺障害」の違いとその対策』をご参照ください。
このとき、保険会社の担当者はそんなこと百も承知で言っています。とにかくここでは治療打ち切りに同意させようと被害者の無知につけこんでいるわけです。ただ、この場合、にわかじこみの知識をひけらかして「他覚所見なしの場合、180日未満の後遺障害申請なんて無意味じゃないか!」などということではなく、この場合の対策は続きをみてみましょう。
被害者「はぁ〜、とにかく私はまだ痛みが残っていますので通院を続けたいと思います」
保険会社「そうですか...チッ(舌打ち)」
被害者「はい...」
保険会社「◯◯さん的にはお身体の具合はどんな感じですか?」
被害者「えっ、どんな感じとは?」
保険会社「◯◯さん的には良くなってきていると感じますか?」
【騙されないで!】
このとき、保険会社の担当者が何を考えているのかというと、「今回の電話で治療打ち切りできないなら、いつ頃、治療打ち切ろうかな」ということです。あなたが「良くなっています」と答えれば、「じゃあ、あと少しだね!」と言われ、「いや、全然良くなってなんかないよ、バカヤロー!」と言えば、「えっ、今日まで通院して治療したのに良くなっていないのであれば、通院している意味ないですよね。じゃあ、やっぱり治療は今週で打ち切るね!」という方向に。。。でも、大丈夫です。こういう場面での対策は続きをみてみましょう。
被害者「う〜ん、私は治療のことに関してはよく分からないです」
保険会社「◯◯さん的にはお身体の具合はどんな感じですか?」(執拗に同じ質問)
被害者「う〜ん、痛いです」
保険会社「(チッ、なかなかひっかからねぇな...)」
被害者「治療のことについては医療照会と言うんでしたっけ?事故後、数日してお送りした同意書(医療照会に承諾するもの)もご提出していると思うので山本さんのほうから先生(主治医)にご確認いただけますか?」
事故から数日して、保険会社には「同意書を提出してください」と言われ、同意書が自宅に送られてきます。これに署名捺印をして返送していると思います。それは、「私の医療情報について保険会社が病院に照会することに承諾しますよ」という書類です。これがないと保険会社は診療報酬明細書を取り寄せることができません。そうしないと治療費を支払うことができないわけですから基本的には、特例を除き、ほぼすべての被害者が提出しています。
ですので、保険会社の担当者は治療や検査の内容を完全に把握しています。被害者本人に直接聞くのは「治療打ち切りのきっかけ」をゲットしようとしている以外特に理由がないので注意しましょう。
保険会社の担当者からこの類の電話が入ったら、特に焦らず、特に怒ったりせず、ただ、「痛いです」「痺れます」「完治するまで通院させてほしい」と伝えればいいだけです。このときのポイントは「肩がはる」や「腰が重い感じがする」など、個人の感想を自分が思う言葉で伝えないことです。症状については、「痛いです」「痺れます」以外の言葉を出さないようにしたほうが無難です。
※当たり前の話ですが、痛くもないのに、「痛い」と主張して通院期間を長引かせるのは保険金詐欺ですから絶対にやめましょう。