交通事故慰謝料ノート

交通事故の慰謝料や示談について被害者にとって有益な情報を配信します。是非、慰謝料や示談金の増額にお役立てください。

サルでもわかる交通事故慰謝料の計算方法まとめ

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交通事故の慰謝料について、誰でも簡単に理解できるように分かりやすくまとめました。

 

まず、「慰謝料」は2つあることを知ろう!

交通事故の賠償問題・示談において、「慰謝料」と呼ばれるものは2つあります。それは「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」です。

入通院慰謝料とは

入通院慰謝料とは、 交通事故の慰謝料って、具体的に何を指しているかご存知ですか? でも書いてあるとおり、精神的な苦痛を与えてしまったことに対する「ごめんなさい」の気持ちです。そして、入通院慰謝料には「3つの基準」があります。以下、詳しく説明します。

自賠責保険基準

治療費や交通費、休業損害、慰謝料などのトータルが120万円以内のとき、この自賠責保険基準が適用されます。任意保険会社は仮払いした分の内、120万円を自賠責保険から回収します。つまり、120万円以内ですべてがおさまれば任意保険会社の負担はまったくないということです。

自賠責保険では、入通院慰謝料は、1日あたり4,200円と決められています。基準となるのは、治療期間実治療日数です。

「A.治療期間」と、「B.実治療日数×2」を比較し、少ない方を通院期間とします。それに、4,200円をかけて、自賠責保険慰謝料を計算します。

少し分かりづらいですか?

では、1つ計算例を出しましょう。山田太郎さんの治療期間は70日、実治療日数は32日でした。この場合、下記のような計算式になります。

(A.治療期間で計算した場合)
70日×4,200円=294,000円

(B.実治療日数で計算した場合)
32日×2×4,200円=268,000円

Bの「実治療日数で計算した場合」のほうが少ないですよね?
ということで、この場合、Bの「実治療日数で計算した場合」が採用されるということです。

任意保険基準

任意保険基準がどういうケースで採用されるかというと、治療費や交通費、休業損害、慰謝料などのトータルが120万円を超過し、なおかつ、弁護士に依頼して弁護士請求を行わない場合です。

たとえば、治療費や休業損害などを考えた場合、人によっては3〜4ヶ月目あたりを境に120万円を超過します。そうなった場合、残された基準は任意保険基準か弁護士基準になるわけです。そして、弁護士に依頼して弁護士請求をしないのであれば、その時点でその人が採用する基準は「任意保険基準」となります。

入通院慰謝料の表は下記のとおりです。

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たとえば、あなたが入院ゼロ、通院期間が115日だったとすれば、115日は3ヶ月(90日)と25日となります。上の表で通院×3ヶ月の部分を見ますと、37.8と書かれています。これで「ふむふむ、3ヶ月に関しては37.8万円なんだな」ということが分かります。残りの25日の計算方法についてですが、上の表で「3ヶ月」と「4ヶ月」の差額はピッタリ10万円になっていますよね?これは、3ヶ月目と4ヶ月にかけての1ヶ月分が10万円ということを意味しています。ということは、25日分の計算は10万円÷30日×25ということになります。(日割りを計算するということですね)

つまり、入院期間ゼロ、通院期間115日の人の任意保険基準の計算方法は次のようになります。

A.3ヶ月→表にある37.8万円
B.25日→10万円÷30日×25=8.3万円

A+B=46.1万円

慰謝料の計算って簡単ですよね!
あなたの治療費や交通費、休業損害、慰謝料などのトータルが120万円を超過し、なおかつ、弁護士に依頼しない場合は、この計算方法が正しく、そして妥当(正しい相場)な慰謝料計算式となります。

弁護士(裁判)基準

「裁判基準」なんて呼ばれるのも、この基準のことです。

弁護士基準というのは、簡単にいうと「弁護士が請求する慰謝料相場」のことです。まぁ、弁護士が請求するから弁護士基準って、そのままですが。本当にそれ以外の何ものでもないんですよね...

ちなみに、この弁護士基準というのが慰謝料計算の基準の中でもっとも高額な慰謝料になります。しかし、弁護士基準がもっとも高額だからといって、弁護士基準で計算し〜ようっと♪ というわけにはいきません。何故なら、先にも説明したとおり、弁護士基準は弁護士が請求してはじめて認められる基準だからです。

私が「請求して〜認められる」と表現したのには、理由があります。「請求」だけであれば誰がいくらしても構わないんですよね。ただ、それが交通事故賠償問題の世界で認められる請求方法なのか、認められる金額なのかという問題があります。認められなければ、あるいは支払ってもらえなければ「請求」しても意味がありません。つまり、弁護士基準で請求して、その請求が認められるのは弁護士だけなので、一般の被害者が直接、「慰謝料部分については、弁護士基準で請求します」と主張したところで、保険会社担当者が「ふぁ???」となっておしまいです。

交通事故賠償問題の世界において非常識とされるやり方で示談を進めれば、保険会社担当者に嫌われ、見えない部分でガツッと示談金を削られることも少なくありませんので、ご注意ください。

通常の弁護士基準による入通院慰謝料の表はこれを使います。

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むち打ちなど他覚所見がない場合はこちら。

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日割りの計算方法については任意保険基準のときにご説明した方法をご参照ください。

私の場合、どの基準が採用されるの?

治療費や交通費、休業損害、慰謝料などのトータルが120万円以内のときは、「自賠責保険基準」が適用され、そうでないときは「任意保険基準」か「弁護士基準」になります。そして、弁護士に依頼しないのであれば「任意保険基準」が適用され、弁護士に依頼するのであれば「弁護士基準」での請求が正しく妥当な請求方法・慰謝料金額となります。

その基準を採用する根拠がないものについては、保険会社担当者が「ふぁ???何故、この基準を採用しているの???」となり、一蹴されますのでご注意いただければと思います。

後遺障害慰謝料とは

後遺障害慰謝料とは、通常の入通院慰謝料とは別に支払われるものです。ただし、あなたの「後遺症」が「後遺障害」として認定された場合にかぎります。詳しくは下記をご覧ください。

kotsujiko.hatenablog.jp

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料は下記の表を使います。

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 この表に書かれている金額を請求する根拠は「赤い本にそうあるから」で十分です。

慰謝料の計算方法

多くの方が慰謝料、慰謝料と言っているのは、ここで説明した「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」のことです。入通院慰謝料については、先に説明した「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判)基準」の3つの基準があり、金額については表に従ってください。そして、その3つの基準を採用する場合、それぞれ「採用する根拠」が必要ですよ、というお話しでした。

(その基準を採用する根拠)
自賠責保険基準→治療費や交通費、休業損害、慰謝料などのトータルが120万円以内。
任意保険基準→120万円を超過し、かつ、弁護士に依頼しない場合。
弁護士(裁判基準)→弁護士に依頼し、弁護士から請求させる場合。

交通事故慰謝料の計算方法まとめ

  • 交通事故の慰謝料は、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2つがある。
  • 入通院慰謝料には3つの基準がある。
  • 3つの基準のどれを採用して請求するかには根拠が必要である。
  • 後遺障害慰謝料は赤い本の表に従って請求する。

いかがでしたでしょうか。正しく理解すれば慰謝料の計算なんて難しいことは何一つありません。正しい請求方法・正しい計算方法であなたの慰謝料を算出して妥当な示談金を手にしていただければと思います。